論文の書き方(超基本編)

 超基本的なことではあるが、思いの外、基本的なことを聞かれることがあるので、簡単にまとめておく。

 人文系の学術論文に書くことは、大きく2つ、「調べたこと」と「考えたこと」である。基本的には、この2つがきっちりと書けていればよい。

 例えば、ヒュームをテーマとして論文を書くのであれば、まずヒュームが書いた文章を読む。次にヒュームについて書かれた文章を読む。そしてそれらを踏まえて、ヒュームについて、自分が考えたことを書く。それでよい。

 エリアーデをテーマとして論文を書くのであれば、まずエリアーデの書いた文章を読む。次にエリアーデについて書かれた文章を読む。そしてエリアーデについて、自分が考えたことを書く。それでよい。

 要するに、一次文献(ヒュームやエリアーデの書いた文章)と二次文献(ヒュームやエリアーデについて書かれた文章)を読んで、自分の考えを書くということだ。

 ただし、ヒュームやエリアーデの伝記を書くわけではないし、ヒュームやエリアーデに関するすべての文献を読むことなど到底できないので、「ヒュームについて」や「エリアーデについて」といったタイトルで論文を書くことは避けなければならない。「ヒュームの○○について」や「エリアーデの○○について」のように、テーマを絞り込まなければならない。

 「巡礼」について論文を書くとなると、少し事情が違ってくる。上の例に倣えば、巡礼を紹介した文章を読み、巡礼を研究した文章を読み、そして巡礼について自分の考えを書くということになる。研究書、研究論文に当たらなければならないという点は変わらない。だが、巡礼を紹介した文章を読むだけでなく、巡礼体験者の体験談を集めたり(場合によっては、直接会って話を聞いたり)、実際にその地を訪れて様々な資料・情報を集めたりすることも必要となるだろう。さらには、自分自身が巡礼を体験することにも、大きな意味があると思う。ただし、論文は体験記ではないので、体験したことをそのまま書くわけにはいかない。分析の対象となる「資料」を集め、整理し、それについてあれこれと論じていくことになるわけである。